本当はずっとドキドキしてたし、意識だってしてた。 でも、プライドが邪魔して皐月にそんなこと言えない。 「昔から、いつもお前は“アイツ“しか見ない。少しは、少しくらい、……」 ……初めてかもしれない、 「俺を見ろよ……!」 こんなに余裕のない皐月を見るのは。 「……さ、つき」 皐月の名前を無意識に呼んだ瞬間、コチンと皐月のおでこが私のおでこにくっついた。 近くに皐月の整った綺麗な顔があり、ドキンと大きく心臓が跳ねる。