「コイツに触ってんじゃねーよ。」 低く不機嫌な皐月の声とともにパンッと音をたてながら離される赤茶髪の男の手。 「…んだよ、お前。邪魔してんじゃねーよ」 表情は皐月が私と赤茶髪の男の間に立っているから見えないが、怒っているのが声でよく分かる。 「……悪いけど、コイツ連れて帰るから」 はっきりと凛とした声でそう言うと、グイッと強く手首を持たれ、強引に引っ張られながらお店を後にした。