「紫音!!」

紫音は俺の声に驚いたようだった。

「翔?何でこんなとこにいるのよ?」

「これはこっちのセリフだっつーの」

「別に何でもないよ」

そう言い紫音が 顔を下に俯かせたのを俺は見逃さなかった。

「紫音さぁ。何か隠してるだろ?この前の検査も何の検査だったんだ?」

「…軽い貧血だよ。ただ…それだけ」

紫音は力なく微笑んだ。

「俺と紫音は幼なじみだろ!何でも言えよ……」

「……は…の方…よ」

「え…?」

「分かってないのは翔の方だよ!この鈍感!」

そう言うと紫音は外へと走っていってしまった。

「今の子と知り合いかい?」

いつの間に後ろにいたのか、おじいちゃんが唐突に話しかけて来た。

「はい紫音ですが……。それがどうかしたんですか……?」

「いや…何でもないわい……」

そう言うと おじいちゃんは車椅子をこいで病院の方へと向かった。

「待ってください!何か紫音のこと知っているんですか!?」

おじいちゃんは俺の質問に答える事なく病院の中へと入ってしまった。

紫音……。お前は、何を隠しているんだよ。

俺に言えないことなのか?