「何考えてたんだよ」

その声で顔をあげるとそこには雅也がいた。

「別に」

そっけなく答えたが、雅也はニヤニヤしている。きっと全部お見通しなんだろう。

「百合菜ちゃんか?」

「うっ…」

ホラな。思ったとおりだ。だけど俺ってそんなに分かりやすいのかな?俺は百合菜ちゃんの方に視線を向ける。

一瞬、ばっちりと目が合う。だけどその後百合菜ちゃんはすぐに視線を逸らしてしまった。

俺…嫌われてるのかな。
駄目だ。どうしても物事を悪い方へ悪い方へ考えてしまう雨の日は憂鬱だ。

「雅也」

「何だよ翔。百合菜ちゃんとの仲を持つなら1000円だかんな」

「俺帰るわ」

何だか今日は気分が乗らなかった。

「まだ一時間目が終わったばっかだぞ!!」

雅也の声も耳に入らぬまま俺は教室を後にした。
…何してんだろ、俺。