待ち合わせ時間は、佐久良高校前に10時。このペースだと十分前には着くな。だから、俺が一番乗りだと思っていた。

しかし、俺の予想に反して、佐久良高校の前にはもう人が立っていた。俺は塀からこっそり、その人が誰かを確認した。

「……美紀?」

間違いない。美紀だ。だけど想像してたより三倍は可愛いぞ……。それに比べて俺はダメだな。自分の身なりに少し落ち込む。

「翔さん、何やってるんですか?」

「うわぁ!?」

塀から、ひょっこり顔を出して来たのは美紀だ。全くもって、心臓に悪い。

「驚かせんなよ……」

「そんなことより、集合場所は佐久良高校前ですよ?行きましょ?」

美紀が綺麗な右手を俺に出してくる。

「また、引きずったりしないだろうな?」

「はい?何のことでしょう?」

首を傾げてキョトンとする美紀。自覚無しってのが一番たちが悪い。

「ま、行くか?」

「はい、です!」

俺は差し延べられた美紀の手をとった。