「ほら、翔。動かないで?」

今日はいよいよWデート当日。以前に買った服を着て、今は紫音に髪型のセットを頼んでいるところだった。紫音は手慣れた感じで俺にワックスを付けていく。

「うーん、こんな感じかな?」

「何だ。あんまり髪はいじらないんだな?」

「あんたは、そんなにツンツンさせないでいいのよ。ほら、頑張ってきなさい!」

トン、と背中を押される。まあ、センスのいい紫音がそう言うならそうなんだろうな。

「何から何までホントにありがとな?紫音」

「気にしないで。私と翔の仲でしょ?」

俺は紫音に見送られて、家を出た。集合場所は、佐久良高校前。あくまで表向きな理由は、美紀に学校前の遊べるところを紹介することだからだ。

「何か少し緊張して来たな」

俺に百合菜ちゃんの相手が務まるのだろうか?