ピンポーン。
呼び鈴が鳴る。

俺は一階へと降りて行き玄関の扉を開いた。

「ごめんね。急に押しかけちゃって……」

「気にしないで。外は寒いから上がって?」

俺の言葉に百合菜ちゃんは頷いて、俺の家へと入っていった。

百合菜ちゃんはやっぱり何処か元気ない。俺は百合菜ちゃんを自分の部屋に案内した。

「何か飲む?」

「あっ…お気遣いなく」

部屋をどんよりと重い空気が包んだ。

前までは部屋に二人きりという願ってもないシチュエーションだったが、今は全く嬉しくない。

「私……友達を失ったことないから…さ。こんなこと初めてで…さ」

百合菜ちゃんの目からは大粒の涙が零れ落ちる。

「どうして…?どうして紫音が……」

俺は何か言葉をかけたかったが、どんな言葉も意味を成さないような気がした。

部屋には百合菜ちゃんの鳴咽がこだましていた。