「うーんまあまあだね?似合ってると思うよ?」

イケメン店員がお世辞とも思われる言葉をくれる。

「まあ、顔が普通だからね」

何の悪気もなく、ストレートに俺をいじめてくる紫音。もう反論する気力すら沸いてこなかった。

「だけど、私も似合ってると思うよ。うん、いつもの翔より全然マシ」

「あ、ありがと……」

そうフォローを入れてからニコッと笑う紫音。やっぱり可愛くなったなと思ってしまった。

「もっと色々見てみようか。ちょっと待ってて。もっと服持ってくる」

紫音はそう言ってパタパタと忙しそうに服コーナーを物色しに言った。

「君、紫音ちゃんとどういう関係なんだい?まさか、本当に下僕?」

店員さんが笑う。

「幼なじみですよ」

俺は慌てて否定する。紫音の下僕になったら体がもたないだろう。

「幼なじみ……か。いや、今日は紫音ちゃん。いつもより楽しそうでね」

「紫音、いつも来てるんですか?」

「まあ月に一回くらいかな。紫音ちゃんとは半年前に会ったんだけどね。その時は、色々あったなぁ」

色々あった……?まさかこのイケメン店員も紫音の毒牙にやられてしまったのだろうか?

「ま、紫音ちゃんには感謝してるよ。あの時に彼女が出来たんだからね」

「か……彼女?」

「そ、聞きたい?」

俺は別にどっちでも良かったが、店員さんが話したがってるのが見え見えだったので俺は首を縦に動かした。