「じゃあ上映会を始めるとするか!」

そういって雅也が取り出したのは十年前のDVDだった。

それは、今まで俺達が「見たい」といっても頑なに雅也に断られた物だ。

「…紫音とおじいちゃんにも見せてあげたかったよね……」

静香がポツリと漏らす。

おじいちゃんは紫音が旅立ってからちょうど一年後に亡くなってしまった。

おじいちゃんは穏やかな顔をしていたのを良く覚えている。

「おじいちゃんと紫音にはもう見せてあるんだ。あと、早苗さんにもな」

雅也が皆に告げる。

「そうなんだ」

静香はどこかホッとしたような表情を浮かべた。

「雅也!早く見ようぜ」

「急かすな如月。まぁ…じゃあ見ようか」

雅也がDVDをセットした。

令志の家の大きなスクリーンに十年前の俺達が映し出される…。