車を走らすこと30分。俺達は令志の家に到着した。

昔と何も変わらない。相変わらず大きい家だな。

「翔先輩っ!!」

令志の家に見とれている隙に、俺は後ろから誰かに抱き着かれた。俺は恐る恐る背後を確認する。

「桜花…!」

「お久しぶりです。翔先輩、百合菜先輩」

「とりあえず離してくれないかな……?」

俺は桜花に聞く。

「何でですかぁ…?」

鼻にかかった甘い声で逆に問いかけてくる桜花。

それはね……百合菜が物凄く恐い笑顔を浮かべてるからだよ。

「桜花は今はモデルの仕事をしてるんだっけ?」

俺をいない“物”として見なして桜花に話し掛ける百合菜……。

「そうなんですよ…。だからスタイル維持も大変なんです…。百合菜先輩のそのスタイルを保つ秘訣を教えてくださいよ」

「私何か、参考になんないよ…」

ガチャ。
玄関の扉が開く。

「何か声すると思ったら……。お前ら何三人で同窓会やってんだよ?」

「令志…!」

「とりあえず中入れよ。美紀と渡はもう来てるからよ」

令志がそう言うと、ようやく桜花は俺を解放してくれた。

ホッとつく間もなく、百合菜は強烈なひじ鉄を躊躇なく俺のみぞおちに叩き込んで来た。

余りの痛みに俺は、膝から崩れ落ちた。

「どうしたの翔君?早く行こうよ?」

そう言う百合菜を見て桜花は小さく震えていた。