「これ、翔に似合うと思うな」

さっきから紫音は実に楽しそうに服を選んでくれている。

「すいませーん!!これちょっと着てみてもいいですかー?」

紫音が俺の許可なしに店員を呼ぶ。店員はかなりのイケメンだった。

「あれ紫音ちゃん。今日は彼氏と一緒かい?」

「違いますよー。忠実な下僕ですよ」

「はぁ!?」

爽やかなスマイルを浮かべている店員さんに対しブラックスマイルを返している紫音。

「紫音、誰がしも…」

「店員さん、こいつうるさいから試着室にぶち込んじゃって下さい」

「かしこまりました」

店員さんは紫音に頭を下げると、俺に小さくゴメンと呟いてから本当に試着室に放り込んだ。そして、下のスペースから服が滑り込んで来た。

「翔、それ着てみてね?」

まあ、扱い方に問題はあるものの、こいつはちゃんと服を選んでくれているんだ。俺は制服を脱いで紫音が選んでくれた服に着替ることにした。