一時間目…。
いつも以上に時間が経つのが遅く感じた。

その時、携帯が震えた。

ドクン。そのメールの差出人の名前に凄く嫌な予感が蒸し返した。

メールあり。早苗さん。

俺は震える手でメールの本文を開いてみる。

『しおんのようだいあっかはやくきてまにあわないかもしれない』

読みにくいメールが非常事態を物語っている。

俺は椅子を蹴るように席をたった。

「どうした若葉…?」

「トイレに行ってきます!!」

皆のところにも同じメールが届いたのだろう。
次々と席を立つ。

「どうした…?」

「お腹痛いです」
「吐き気がします」
「頭痛いです」
「喉痛いです」
「コンタクト外れちゃいました」

みんな思い思いの言い訳を言うと先生の返事も待たずに教室を飛び出した。

それと同時に令志がC組から飛び出して来た。

「桜花連れてくる!!」

一年生は上の教室で授業をしている。

静香が階段を駆け登り、すぐに桜花を連れて来た。その間に令志は何処かに電話をかけていた。

皆が合流したので俺達は走って正門に向かった。

するとそこには明らかにこの風景とミスマッチな黒い高級車が止まっている。

「令志ぼっちゃんから話は伺っております。早くこの車に……」

令志はあの時に車を呼んでたのか…。別荘時にも思ったがこいつやっぱり坊ちゃんなんだな…。

執事っぽい人は、皆が乗り込むのを確認すると車を急発進させた。

紫音…!

みんなの思いは一つだった。