「ただいまー」

「お帰りー」

あぁ……またか。

「だから、お前は何で当たり前のように俺ん家にいるんだよ!!」

紫音は制服姿のまま、俺が帰って来てから食べようと思っていたプリンを美味しそうに口に運んでる。

「いいじゃん。そんなことより、翔どうしたの?いつもより顔が暗いじゃん。何かあったの?」

雅也といい、紫音といい、やっぱり勘が鋭いんだな。俺は紫音にWデートのことを話した。紫音は余計な口を挟まずに、全部聞いてくれた。話終わった後、紫音は呆れたように俺を見た。

「またWデート?確か一年前もやってなかった?」

「まあ、そう何だけど…ってなんでお前が知ってるんだよ?」

一年前のWデート……。それは俺が百合菜ちゃんを好きだと分かった雅也が強引にセッティングしたものだった。

「雅也から聞いたのよ。もちろん、あんたの好きな人も知ってるから!」

「雅也の野郎……」

今度あったらしめてやるからな……。

「じゃ、服買いに行こうか?どーせあんたださい服しか持ってないでしょ?」

「おいちょっと……!」

「いいじゃん。Wデートの前に私と制服デートしようよ。ね?」

「……分かったよ」

紫音は昔からこうなのだ。思い立ったら即行動。まぁ、紫音らしいと言えば紫音らしいんだが。