百合菜ちゃんは、それだけ言い残し別荘への道を辿っていった。

『ずっと…待ってる』

俺はその言葉に縛られてしまったようにその場から動けなくなってしまった。

好きだよ

俺は指で砂浜にその四文字を刻んだ。

その文字は波がさらっていってしまった。

そこで俺はもう少し海から離れたところに、また四文字刻んだ。

だいすき

波が字を消そうとする目前で恨めしそうに引き返していく。

俺はそれに満足して別荘へと引き返した。