ふわり…ふわり…。
手紙は風に身を任せ…
ゆっくり…ゆっくりと
空中を漂う。

「ねえお母さん…あれ何かな…?」

幼稚園児と思われる子供が空を舞う物体を指差す

「あら……。お手紙かしらね…」

お母さんも首を傾げる。

「そっかぁ…お手紙かぁ。ちゃんと…待ってる人に届くといいね!」

いや…。独り手に空を舞う手紙などない。
きっとあれは誤って落としてしまったのだ。

子供にそう否定しようと思ったが口をつぐんだ。

何故ならその手紙は…
まるで一点の方向に導かれるように、落ち始めていったからだ。

「お母さん!あのお手紙届くといいね?」

子供は母親の答えを待っている。

「届くわよ…きっと」

親子は再び歩み始めた。