ピンポーン!

不意に呼び鈴がなった。それを聞いて早苗さんは俺から離れる。

「誰だろう?」

俺は一人呟いて玄関へと向かいドアを開けた。

「浅香さん……?」

「こんにちは…」

ドアを開けるとそこには浅香さんがいた。

「忙しかったかな?」

「別に大丈夫だよ?浅香さん何の用?」

すると浅香さんの目は俺じゃなくて玄関の靴へと向けられていた。

しまった…。早苗さんの靴は玄関に置きっぱなしだった…。

「あれ……誰かお客さん来てるの?」

「う…うん」

よし…。このまま帰ってくれれば変な誤解を生まずに済む。

「あれ?百合菜ちゃんじゃん。どうしたの?」

「…さ…早苗さん!?」

何てタイミングで出て来るんだこの人は!?

「な…何で早苗さんがここにいるんですか…?」

浅香さんの声は微かに震えていた。

「ちょっと勉強教えてあげただけだよ?」

「…私…余計なお世話だったかもね」

浅香さんはそう呟いてバックも置いてどこかに駆け出してしまった

「浅香さん!」
「百合菜ちゃん!」

俺と早苗さんの制止の声も甲斐なく、浅香さんの影は、すでに見えなくなってしまった。