「おじゃましまーす」

早苗さんは、そう言って俺の部屋へと上がっていく。

俺はコーヒーと軽いお茶受けを用意してから自分の部屋へと向かった。

ドアを開けると信じられない光景が目の前に広がっていた。

「翔君ってこういう趣味があるんだね?」

早苗さんは俺のベッドの下から引っ張り出した本を見ていた。

俺は恥ずかしさのあまり何も言葉がでなかった。

「百合菜ちゃんに言っちゃおうかなー」

「や……やめてくださいよ!!」

早苗さんはおじいちゃんの看護師だから皆と知り合いだ。

俺は手に嫌な汗をかいてるのを感じた。

下手したら紫音に教えてもらった方が良かったかもしれない……。

この人、こんな可愛い顔して紫音に決して劣らぬドSだ……。

「じゃあ、そろそろ勉強しようか?」

俺には頷くしか選択肢がなかった。