俺達は、通知表と大量の宿題と引き換えに夏休みを手に入れた。

俺と雅也は そのまま病院に行きおじいちゃんと交渉することになった。

まず、入院中の患者を連れ出していいものか…

「ところで映画の内容ってどんなのだ?」

病院へ行く道の途中、暇つぶしがてらに雅也に聞いてみた。

「んー。まぁ純愛ラブストーリーだな」

「ラブストーリー?」

「あぁ。翔と百合菜の」

「……冗談だよな?」

「本番が楽しみだな」

そう言って雅也は怪しい笑みを浮かべた。

雅也ならやりかねない。

だけど最近は浅香さんと顔を会わすたびに喧嘩まがいのことしかしてないからな……。正直、大分不安だ。

「おっ。着いたな」

雅也と俺は おじいちゃんの病室へと急いだ。

「元気にしてるかな?」

俺が最後におじいちゃんを見たのは体育祭の日。何かと忙しくて来れなかったのだ。雅也がノックをして病室のドアを開けた。