クラスの打ち上げもそこそこに俺は家路へと着くことにした。

百合菜と付き合ってからもうすぐ二ヶ月になる。俺は百合菜に何も手を出していない。

キスもしていない。

俺はそれが百合菜に対する礼儀だと思っている。

もう…翔の優しさは理解した。十分ぎ過るほどに……。

だけど…まだ百合菜を翔に渡すわけにはいかない。

もうちょっと翔の気持ちを引き出さないとな。

そこまで考えてふと俺は夜空にぽっかりと浮かぶ月を見上げる。

「あーあ。いつから俺はこんなにお人よしになったのかね?」

不思議と悪くない気持ちだった。

心の芯から沸き上がるこの気持ちは…何だろう?
今の俺には答えがでないようだ。