さすがに令志は速い。

後10メートル。

俺と令志の距離はもうほぼ0だ。俺は限界を超えた右足にムチを打ちラストスパートをかける。

負けたくない……!

その時、ゴールテープが切れた。

ゴールテープは支えを失い宙を漂う。

先にゴールテープを切ったのは……。













俺だった。

全力を出し切った俺と令志は走り切った勢いで、そのまま地面に倒れ込んだ。

「お前……彼女の前で華持たせてくれる優しさはないのかよ?」

令志は息を切らしながら俺に尋ねる。

「ばーか。最後に真剣勝負に持ち込んだ優しさを讃えろよ」

そう言って俺らは笑いあって拳を合わせた。

パーン!!一年生もゴールしたらしい。

長い長い体育祭が終わった。

今日の空は…こんな高かったんだなぁ。

俺達はいつまでも吹き抜ける青空を眺めていた。