俺が一方的に翔を突き放した翌日……。

俺には予想だにしなかった事が起きた。

翔が俺に謝りに来たのだ。

「何でお前が謝りにきたんだよ?」

手を出したのはだ俺。明らかに俺が加害者だし非がある方だろう。

俺に翔の意図は掴めなかった。

「いや…百合…じゃなくて浅香さんに彼氏がいるの知らなくてさ…『百合菜』って大きな声で叫んじゃって…」

「…それだけ?」

「それだけ」

「お前…変な奴だな」

俺は素でそう思った。だけど……どこか面白いやつだとも思った。

「浅香さんのこと、よろしくな」

その時の翔の悲しそうな顔を昔も今も…俺は忘れないだろう。

あれから一ヶ月…。とっくに翔の優しさは分かっている。

だけど…今は少しだけ…愛しい百合菜の側にいさせてくれ…。