「何してんの?」

俺は息を切らせながら他校生にそう言った。

「あぁ…!?てめぇ誰だ……」

「聞こえてる?何してるの?って言ったんだけどさ…」

他校生は少し怯んだが、俺が一人なのを見て
また余裕を取り戻した。

「ちょっとこの可愛い子にいいことしようってとこだったんだよ」

桜花は小さく震えてる。

「俺の彼女に何してんの……?」

「何だよ彼氏持ちかよ。おい行こうぜ」

他校生はそう言い残し、学校を去って行った。

途端に俺は腰が抜けた。
良かった…。桜花に何もなくて。

「の…か…」

「え?」

「翔先輩の馬鹿!何で私なんか助けに来たの?あのまま行けば一位だったんだよ!?」

桜花は、そういうと泣き出してしまった。

「私…私が翔先輩の邪魔になった…。私のせいで負けた…」

「いーんだよ」

「いいわけないじゃないですか…!翔先輩、今日のために色々…」

「B組アンカーは俺。俺は俺らしく走るだけ!」

「先輩…」

「んじゃ…ゴールテープ切りに行ってくるよ」

「先輩…大好きです」

「へ…?」

「何でそんなに優しいんですか!先輩は…。卑怯ですよぉ…」

桜花はまた泣き出してしまった。俺はどうしたらいいんだよ…。

いちようリレーの最中なんだけど…。すると桜花は目をこすり涙を拭い去った。

「これ以上先輩の邪魔する訳にはいきませんね。先輩、行ってください」

「一つ聞いていい?何でこんなとこにいたの?」

そう聞くと桜花は頬をうっすら赤く染めてこう答えた。

「この場所が一番、翔先輩がかっこよく見えるんですよ」