そして…トップランナーの美紀がもう一回走った頃には、C組を射程圏に捉えていた。

他クラスではやはり、バトンの受け渡しに綻びが見え始めていた。

今走っているC組の女子は足が速くはない。抜くには今がチャンスだ。

「美紀!頑張れ!」

俺らのクラスの声援にも力が入る。
そしてついに……。

「一位だ!!」

美紀がC組を抜いて、B組が一位になった。

そしてここからは渡、雅也の黄金リレーで差を稼ぐというのが、俺らの計画だ。

他のクラスは足が遅い人と速い人がごちゃまぜになっているため、もはやB組を捉えることが出来ない。

全ては思惑どうりに進んでいた。

そして…いよいよ俺の出番が近づいて来ていた。

渡から雅也の手にバトンが渡った。

差は20メートルはあるだろうか。これはいけるかもしれない。

雅也の影が近づいてくる

「翔!お膳立てしといたぜ!」

ニッと雅也は笑って俺にバトンを渡した。

「任せとけ…!」

俺は静かな闘志を胸に秘め走り出した。