俺達は各場所についた。

「翔!負けたら承知しないよ!」

観客席から紫音の激が飛んでくる。すると、紫音の横に、信じられない人影を見つけた。

「おじいちゃん……」

そう。入院中のおじいちゃんがいたのだ。隣には看護師さんが付いている。

「翔、雅也、渡、美紀、百合菜、静香、頑張るのじゃぞ!!」

メガホンを通しているので、おじいちゃんの声は俺らの耳に強く残った。

膝の上にはラブちゃんが乗っている。

俺は、おじいちゃんに手を挙げた。おそらく他の五人も同じ様にしているだろう。

B組のトップランナー、美紀も微笑んでいる。

不思議だ……。

『走りたい』

ただ純粋に俺はそう思っていた。

パァン!

運命の音色が響いた。美紀はその音を合図に勢い良く走り出した。