「次は…クラス全員リレー、二年生の部です。二年生は入場門付近へ集合してください」

アナウンスが校庭に響き渡る。いよいよ花形種目クラス全員リレーだ。

ドクンドクン。俺はいつになく緊張していた。

リレーのアンカーなどという大役を務めるのは生まれてこのかた初めての体験だ。

「なーに柄にもなく緊張してんだよ」

「渡…」

「令志との勝負を楽しめよ」

渡なりに励ましてくれているのだろう。

「ちゃんとお膳立てしといてくれよ?」

俺のその言葉がクラス中に伝わったらしい。俺は袋だたきにされた。

「頼むぜB組アンカー」

俺は体で皆の思いを受け取った。しかも、皆、右足に攻撃を加えてこない。

不思議と鼓動は静まっていた。