「ご……ちそうさま」

パンパンに膨れ上がった腹をさすりながら俺は言った。

「お粗末さまでした!じゃあリレー頑張ってくださいね!」

桜花はそう言って俺と雅也から離れて行った。
あいつ……この腹が見えないのかよ。

すると入れ代わるように令志がやって来た。

「げっ!如月…」

雅也はまるで汚いものを見るかのような目で令志を見る。

「まぁ雅也。仲良くしようぜ。お前速かったな」

「嫌みかよ?」

「いや、正直20メートルまでの差なら絶対抜けると思ってたよ。だけどお前は抜けなかった。お前は速いよ」

雅也の言葉に苦笑しつつ令志は言った。

「如月……」

「まぁ断然!俺の方が速いけどな」

令志はそう言って笑った。

「てめーは一言多いんだよ、如月」

気に食わないような顔に戻った雅也。この二人が仲良くなる日はないのかな…?

「翔。昼のリレー。楽しみにしてるからな!」

ビシっと俺に指を向け不適に笑った。

「望むところだ」

その答えに満足したのか令志は自分のクラスに戻って行った。

……何で浅香さんと一緒にいないんだろう?

帰っていく令志の背中を見つめながら俺はそんなことを思っていた。