嘘だろ…?俺は目の前の状況に目を疑った。

いくら 俺が遅くともC組とは15メートルくらいの差はあった。

しかも雅也は本当に速い
あの紫音も雅也の走りは認めている。

その雅也を相手に、徐々に徐々にだが差を詰めているのが令志だった。

「如月さん……本当に速いですね」

美紀がポツリと呟く。

そしてついに令志と雅也の差が5メートルにまで縮まった。

4メートル
3メートル
2メートル
1メートル……。

誰もが抜かれると思ったその瞬間、雅也がゴールテープを切った。

B組が一位だというのに
俺らは勝利気分には浸れなかった。

下手したら負けていた。

俺はクラス全員リレーであいつと戦う。

俺は…あいつに勝てるのだろうか?

背中を冷たい汗が伝った。