紫音にぼろぼろに絞られた俺は、おぼつかない足取りで席へと戻った。

「若葉君……ちょっといいかな?」

しかし休む間もなく、俺は浅香さんに声をかけられた。

「な…なに?」

平静を装って答えたが、心臓の鼓動はせわしなく動いていた。

「ちょっと話したいことあるから来てくれないかな?」

俺はその言葉に頷き、浅香さんに連れられて体育館の裏まで赴いた。

「それで話ってなに?」

「あのね。令志君の紙には何が書いてあったか分かる?」

令志のことか…。ま、そりゃそうだよな。俺は内心ガッカリしたが気を取り直して答えた。

「一番大切なもの」

「そっか。だから令志君。クラスの応援旗なんて持ってたんだね」

浅香さんはクスクス笑っている。

令志の奴、何で浅香さんを連れていかなかったのか……?

話はそこで終わりだと思い、俺は席がある校庭へと足を向けようとした。

「待って!もう一つ話があるの」