…いる。この学校にあの手紙を書いた人がいる。

俺は辺りを見回した。しかし……本当に手掛かりがない。

「何 キョロキョロしてんだよ。早く見せろよ」

「あ……」

令志に紙を奪われた。

「何だこりゃ?」

「さ…さぁ」

「誰かが勝手に混ぜたんだろ?他の紙とこの紙は違うだろ」

確かに、その紙は他の紙と比べて大きかった。

「悪戯だよ、これ。翔はこの紙にしろよ」

令志はその紙をクシャクシャに丸めて捨ててそこら辺にあった紙を俺に渡した。

「じゃあな翔。俺は探してくるわ」

俺はさっき令志が丸めた紙をこっそりポケットにしまってから、紙を確認した。中を見ると、

『一番怖いもの』

と書かれていた。

「マシなもんねーな」

俺はぽつりと呟いた。
そして会場を見回し、一番怖いものと思われるのを呼びにいった。

「な……なに翔?」

「い、いやそのぉ。一緒に来てくれない?」

俺は体育祭見学に来ていた紫音を連れてゴールした。