「あっ…」

そう女が呟いた時にはもう遅かった。突然吹いた春一番で、さっきまで書いていた手紙が吹き飛ばされてしまったのだ。

「せっかく書いた手紙だったのに……」

女は窓から顔を出し辺りを見回したが手紙らしき物は見当たらない。

「どうしよう…。もし誰かに見られてたら…でもだからといって同じ手紙を書くわけにも……」

女はため息をはく。

「どこまで飛ばされていっちゃったんだろう…」

女は、そう呟きパタンと窓を閉めた。