「やっとこっち向いてくれた」

先生はニコッと笑った。
不意打ちの笑顔に不覚にも胸がドキッとした。

「なに照れてんの」

「え?」

「顔赤いぞ」

「そんなわけ…」

手を頬にあてると、熱があるように熱かった。
なんで赤くなってんの私。


「照れてる姫希、可愛いな」


「なんなんですか、急に。照れてないですから」


私はぷいっとそっぽを向く。


「そうやって強がる姫希も可愛い」


「褒めたってなにも出ませんよ」


「姫希はもともと可愛いじゃん」


「何なんですかもう」


この人は誰にでもそんなことを言ってるのだろうか。


「俺は見てたよ。姫希のこと」


「え?」

先生はまたニコッと笑った。