もう十年以上たつのだろうか、あの日から。
 子供だった私たちはいつも一緒でどこへ行く時も一緒で、時々私の友達と一緒に遊んだりあいつの友達と一緒に遊んだり。
 まあ、色恋沙汰でからまれることもあったけど、本人たちは何も気にすることなく何も変わらなかったことは覚えている。
 実際恋人っていう関係が分からなかったのもあるし、もし付き合うっていうことになっていたら断っただろう。兄弟と付き合うようなものだ、ありえない。
 彼が私の前からいなくなる日、住所を渡された。
 小さいころの私たちは文通でしか離れたところでつながる手段が思い浮かばなかったからであろう。しかし私はどうしても彼に手紙を送ることはできなかった。 
 仕方ない。全部私のせいなんだから。
 子供だったからか私の性格上なのかはわからないがどうしてもこれはこれ、あれはこれと割り切ることはできなかった。
 どうやっても自分で割り切ることはできずに彼から送られた手紙も返信することもなく、だんだんと彼からのその手紙の頻度も少なくなってきて最終的にはその手紙は途絶えた。