「大原千隼。」 彼は無愛想にいって私の隣の家に入ろうとした。 「待って」 私が呼び止めると彼は不機嫌そうに振り向いた。 きりっと鋭い黒い瞳に黒い前髪がかかっている。 彼の瞳は誰も人を寄せ付けないように感じた。 だけど私はその瞳に吸い込まれそうになった。 「あの、今日から隣人になるんですか?…よろしくお願いします」 私は下を向きながらいった。