私なんていらないんじゃないかと、 ヒソヒソと心の奥底で誰かが囁く。 自分を追い込むのはいつも自分だ。 あの日、 最後に目を合わせたのはなんでだったっけ。もう何も聞こえはしないのに、なんて。 長く伸びた爪も、 長く伸びた髪も、 風にさらわれる香りも、 あしらった記憶も、 褪せていく色も。 この手は触れない。