これ…今飲めば
美神と間接キスになるってこと…?
やっ…の、飲まないけどね!?
「じゃ、俺ら行くから」
「え!?行くってどこに…!?」
ズカズカと腕を捕まれ強制的に美神に連れていかれる
私これから授業あるんだよ…!?
「お〜じゃあな〜!
いちごオレさんきゅーな~!」
なんて可愛らしい笑顔をむけて手を振る木下くん
いちごオレだってほんとは謝るときこれで許してみたいなものだったのにね!?
「み、美神…わたしは授業が……」
「具合悪くて寝てたって言えばいーだろ
つか、今向かってんの保健室だし」
前みたいに、無言のまま連れてくことをしなくなった美神
そこは褒めてあげたい…が
なんで保健室にむかってるのさ…!!
抵抗しても無駄…
そこは1番理解しているため、私はおとなしく美神についていった
それに、本音は少し嬉しい…からね。
───ガラッ
勢いよくドアをあけるとカチャリと鍵を閉めた音が聞こえた
あ、あれ…??
誰もいない保健室
先生も…寝てる生徒も…誰もいない
「保健のせんせーは、午後から出張なんだと」
わたしの思ってることを答えるように言うと
「だから今日はここでサボんの」と
言って美神はチャリッと鍵を私にみせた
あぁ…美神、鍵盗んできたんだな…
「……お前さ」
静かに口を開いた美神
あ、これはまずい…
直感だけど、そう感じた
「さっきのなんだよ…
なに自然と間接キスしようとしてんの」
「わ、私はもらっても飲まなきゃ…
別に平気かなって思ったし…その」
な、なんで私は美神にこんな必死に言い訳みたいなことを言っているのか…
持っているカフェオレをキュッと両手で握る
「ま、俺と木下が間接キスしただけだもんな」
「うっ…それはごめんなさい…」
ペコリと謝ると「……許す」と優しい声が耳に届いた
美神ってなんだかんだ…優しいんだよね…
「あ、やっぱ許さない」
「えっ…!?」
「ちょっとこっち来い」
優しいなんて思ったのが間違いだったようだ
美神はニヤリと口角をあげて笑い
"来い来い"と手招きをする。
1番奥のベッドに来い…と?
カフェオレのパックを机に置くと、美神のもとへと少しずつ足を運ぶ
「な、なに…?」
少しビクビクしながら美神に近づく
すると、座れというように
ポンポンとベッドを軽く叩いた
私がちょこんと座ると
クリーム色のカーテンをシャッーと一気にしめる
何する気なの美神……
心臓はドキドキとうるさいが、体は自分でも驚くほど硬直状態だ
すると、突然…
「ひゃっ」
スッーと背骨をなぞるように指先で撫でられ、変な声が出てしまった
恥ずかしくてカァァッと頬が赤く染まっていくのが自分でもわかった
「なっ…なにっ…なにすんのバカ!」
手の甲を自分の口につけて口元を隠す
美神のほうをみるとクスクスと笑ってて…
「なんか固まってたから
ほぐしてやろうと思って」
~~っ!!
ほぐしてやろうとって…!!
何事もなかったように美神はベッドで横になる
「…一緒に寝よ」
「はい!?」
ねむそうにトロンとした目が私を見つめる
い、一緒にって…!?
「はやく
まだ、俺の奴隷だろ…?」
こういうときに奴隷という言葉を口にする美神はとてもずるい
でもさすがに一緒に…っていうのは
心臓がもたないような…なんて思ってるうちに
───グイッ
「…っわ」
強引に腕をつかまれ、バランスを崩した私は倒れるようにバフッとベッドに横になった
1人用のベッドに2人で向き合うように横になっている
ちっ…近いッ……
すぐ近くに美神の綺麗な顔がある
ドキンドキンと鳴り止まない心臓
き、聞こえたらどうしよう…
「顔真っ赤…」
「うっ…るさいなぁ…」
クスリと笑われ、さらに私の顔は赤くなる
そのうち、リンゴなんて呼ばれてしまいそうだ