「どうした、総司?」

「すみません、近藤さん……。その子、僕に任せてくれませんか」

「「え?」」

私と近藤さんの声が重なる。
冗談でしょ……。

沖田さん、あなたは何を言ってるの?

せっかく私が嘘をついたのに。

あなたは私を死なせない気?

「任せてってお前、どうする気だ?まさか、」

「僕は……この子が長州の間者では、ないと思います」

「!」

長州の間者じゃないって……。
さっきまであんな怪しいって言い方をしていたのに?

私は呆れて物も言えない。

「だって、信じられます?彼女、僕らに自ら近づいて最初に言った言葉が殺さない?ですよ。間者なら、そんなこと簡単にいいますか?」

「……」

だから、長州の間者じゃないと?

あなたは…お人好しなの?
そこは疑うのが筋じゃない?

現に彼らは、私を疑ってる。

自ら私が考えた作略によって。

「でも総司、もし万が一のことがあれば……」

「万が一?僕は一番隊組長ですよ、平助。負けるはずがない。だからお願いします、近藤さん。責任は私がとりますから」

頭を下げる沖田さん。
この人が何をしたいのか、分からない。

私、死にたいのに。
ここでもやっぱり死ねないの?

近藤さんは暫く考えていたが、やがて決意を固めたのかこう言った。