そんな彼らに私は笑いかけた。

「何もしないわよ、私」

「信じられませんね。あなた、何者ですか?」

「そうねえ…」

私と二人の間を、桜吹雪が舞って。
一瞬だけ全体を光が射した。

「「っ……!?」」

息を呑む二人。
私の姿を見て驚いたのだろう。

驚くのは無理もない。
私は、セーラー服を着ているから。
彼らとは違う、この時代でいえば洋装の。

「……貴様、異人か?」

「いいえ?ねえ、貴方たち私を殺さない?」

「は?」

沖田総司らしき人物が、私を凝視する。
私は…早く死にたい。

お願いだから、早く殺して。
願うはただそれだけだから。

「私、早く死にたいの。うずうずしてるの。……死んだって構わないわ。だから、私を殺しなさい?」

「「……」」

私の言葉に呆然としているのか。
黙り込んだ二人に、あーららと私はため息をついた。

貴方たちは新選組でしょ?

泣く子も黙る新選組で、壬生狼とも呼ばれてる。

刀を抜けばすぐに殺せるはずなのに。

なぜ、殺さないの?
まさか情けをかけてるの?

彼らに苛々した私が口を開こうとした時。

斎藤一らしき人物が、私にこう言ってきた。

「……ひとまずあんたは怪しい。着いて来て貰えるか」

「…いいわよ、そこで殺してくれるの?」

そう言う私を無視した二人は歩き出す。
どういうこと?

私は疑問に感じながら彼らに着いていった。
この時彼らがどう思っているかも、知らずに。