これは、現実だろうか。
幻だろうか。
私、高校1年生の神崎焔はただ呆然としていた。
「なに、ここ……?」
気付いたら広がるのは、コンクリートじゃなくて砂だった。
しかも目の前には辺り一面田んぼで、着物や袴を着た人たちが刀を差して歩いてる。
まるで江戸時代にタイムスリップしたような、感覚。
「まさか時代村?」
いや、違う。
私は先ほどまで部屋にいたはずだ。
それがいきなり光が射して、気を失い気付いたらここにいたという訳で。
「でもここが江戸時代なら…私は、簡単に死ねるのかしら?」
誰かが殺してくれないだろうか。
私はそんなことを思った。
私は普通の人とは違う。
いつも死に場所を求めていた。
求めても、死のうとしてもいつも誰かが私の邪魔をする。
いい加減、気付いて。
「ひとまず、座ってるしかないわよね……」
死に場所かもしれないからと言って、ここが何処かも分からないのに勝手に動く訳にも行かなくて。
私はジロジロと見てくる視線に、見返しながらただぼんやりと座りその様を眺めた。