「お願い許して……。






あなたの怒りに

触れるようなことを

私がしていたならば、

私は心から謝るわ。






だからお願い。






もうこの場所から

いなくなって……」






「お母さんが私に言ったの……。






一緒にお父さんのところに

行こうって……。






私、本当は

死にたくなかった……。






生きて夢を叶えたかった……。






でも、そんなことは

私には無理だったの……」






久保志織はゆっくりと

私の方へ近づいてくる。






私は彼女の目を見つめ、

膝をカタカタと震わせながら、

後ずさりをした。






「あなたが幸せだから、

私の不幸が際立つの……。






あなたがいるから、

私は不幸せなの……」






「こ、来ないで!






そんなの逆恨みよ。






私は悪くない。






私には

あなたに恨まれなくてはならない

理由が……」






私が最後まで、

言いたいことを

言い終わらないうちに、

久保志織の悪霊が、

私を襲ってきた。