〈 久保志織……。






何であなたが、

ここにいるの? 〉






私の体は、

恐怖でガタガタと震え始めた。






今の私には、

助けを呼んでも、

助けてくれる人が誰もいない。






今の私には、

逃げたくても、

逃げる場所がない。






この部屋の唯一の出口の前には、

久保志織が立っていて

とてもその場所に、

たどり着けるとは思えなかった。






久保志織は、

その血色の悪い青白い顔を

私に向けて、

憎しみのこもった目で

私の怯える心を射抜いた。






「憎い……。






私はお前が、憎い……」






久保志織が不気味な声で、

私にそう言うと、

私は恐ろしくて

動くことができなかった。






「一条美和子……。






私はお前を許さない……。






お前だけが、

幸せになることを

私は絶対に許さない……」