私は自宅の門を抜け、

広い庭を走り

家の玄関を開けると

今日に限って

父も母も家にはいなかった。






私は心細い気持ちのまま

靴を脱いで階段を上り、

二階にある自分の部屋へと

向かった。






私は自分の部屋に入ると、

ベッドの上に腰をおろし、

次から次へと流れ落ちる

汗を拭った。






〈 どうしてこんなことに

なってしまったのだろう? 〉






私は不安な気持ちに

押しつぶされそうになりながら、

そう思った。






〈 私は悪くないのに……。






私はただ、

一生懸命に受験に向けて

勉強をしていただけなのに…… 〉






私は、

一人で部屋の中にいることが

不安になった。






私は本当に、

この部屋の中に

ポツリと一人でいても

大丈夫なのだろうか?






本当に私は、

あの久保志織から

逃れることができたのだろうか?






私は不安になり、

スマホを手に取ると

朱美に電話をかけようと

発信履歴を見てみた。






でも、

私が電話をかけようとした

そのとき、

私のスマホから着信音が流れて、

私は思わず、ドキリとした。






私は慌て、

手にしていたスマホに

目を向けると、

私のスマホには

何故だか私の知らない

携帯番号が表示されていた。