私たちは、二つしかない

選択肢のうち、

夜逃げをするということを

選びませんでした。






私たちは、世の中に絶望し、

知らない土地で

借金取りたちに

見つからないように

ひっそりと生きていく生き方を

選ぶ気にはなれなかったのです。






私たちは、最後くらい

楽な選択肢を

選ぶことにしました。






それにしても、悔いが残るのは、

私が遊ぶことを犠牲にして

机に向かって勉強をしていた

あの日々です。






もしも私に、

不幸な現実が

訪れなかったならば、

私は大学に進学し、

医者になれたのでしょうか?






私はそのことが、

今でも気がかりなのです。