父の会社は倒産し、

私たちは家を取り上げられ、

私たちには、もう借金以外、

何も残ってはいませんでした。






真面目な父は、

笑わなくなり、

母は塞ぎこんで

おかしくなってしまいました。






父はお酒を飲むことも

できない人だったので、

自分が家族を路頭に迷わせて

しまったことを

真剣に思い悩んでいたに

違いありません。






ある日、学校から

私が狭くて古いアパートに

帰ってくると、

そこにはパトカーが止まり、

人だかりができていました。






会社を倒産させて、

仕事にもつけなかった父は、

家族がいない間に、

アパートの流し場で、

包丁で首を刺して

自殺をしていたのでした。






私はその日、

悲しくて

涙が止まりませんでした。






私たちは、

あんなに幸せだったはずなのに、

どうして?






私は医者になって、

たくさんの人の病気を治して、

自立した社会人に

なりたかったのに……。