私は恐ろしくて、

何も考えることが

できないままに

そのメールを削除した。





私はメールの送り主の

圧倒的な悪意を思うと

体の震えが止まらなかった。






今まで私は、

自分が人から

恨まれたり、

憎まれたりということを

経験したことが

なかったから……。






〈 きっとたちの悪い

イタズラよ。






気にしても仕方がない 〉






私は自分に

そう言い聞かせ、

足早に予備校へと向かった。






〈 このメールのことは、

早く忘れよう 〉






私はそう思っていたが、

私のその考えは、

じつに甘いものだったと

私はすぐに

思い知らされた。