「────葵。」 心地いいバリトンの声が聞こえた。起き上がるとサラサラとした黒髪と整った顔があった。 『…なに?』 寝起きだから多少無愛想な返事でも許して欲しい。 彼はフッと口元を緩めた。 「…もう放課後だ。」 私だけにしか向けないこの甘ったるい顔が結構好きだったりする。