「大きくなったら結婚しようね?」
「うんっ」
そんな幼い日の記憶…
ピピピピッ
「う〜ん…」
毎日繰り返される同じ朝。
「はやく起きなさーいっ」
下から聞こえるいつもと同じ母の声。
なんにも変わらない。
そう思ってた。
「おいっ!いつまで、寝てんだよ!」
窓の外から聞こえる声
ガラッ
「ようっ、はよっ!!」
これが、私の一日の始まり。
私は、水谷美優。ごくごく普通の高校生。
やっとの思いで、2年に進級できた。
彼は、私の幼馴染。
山岸新。
彼は、私と違って文武両道。
おまけに顔もいい。
「もう、窓から入ってこないでよっ!」
彼の家とはお隣さんで、部屋も向かい側にある。
小さい頃から、窓から行き来してる。
「いーじゃん別にっ」
「よくないっ!着替えられないでしょう?」
「はぁ?お前の体なんか見たってなんとも思わねーよっ」
最近の悩み。
彼は、私が着替えてても気にもしないでベットでくつろいでいる。
本当に最悪だ…
彼は、私のことを女とは思ってないみたい。
「おいっ!学校行くぞっ」
私達は、昔から変わらず毎朝一緒に登校している。
周りからは、「付き合ってるの?」とか聞かれるけど、お互い恋愛感情なんてない。
これからも、そうだと思っていた…
「美優、今日から一緒に帰れなくなった」
「え??なんで?」
「彼女ができたっ」
新に、こんなこと言われたのは初めてで…
私は少し動揺した。
ズキンッ
あれ?
「美優?どーした?」
「へ?あ、うん、わかったよ!!」
ん?
なんか変…
「それ、新くんの事好きなんでしょ?美優は」
昼休み親友の牧野瑞穂。
頭も良くて美人。
美人なのに、気取ってない子だから男子からも女子からもすごく人気がある。
最高の親友だっ!!
「なんで、そうなるの?好きなわけ無いじゃんっ!!」
「えぇ、だって、ありえないよ?」
ありえないありえない…
「なんでよ?だって、新くんかっこいいし。何がダメなのよぉ?」
「だって、あたし達幼なじみだよ?ありえないよぉ」
「んじゃぁ、幼馴染ってこと抜いて考えれば?」
幼馴染じゃなく考える??
新を??
「おいっ美優?教科書貸して?」
「え??あ、うん」
「現国忘れてさぁ」
「げ、現国ねっわかったよっ」
ヤバイ、意識したら急に恥ずかしくなっちゃった。
「はいっ、現国ねっ、次あたし達も現国だから終わったらすぐに返してねっ」
「おうっありがとな美優っ」
「うん…」
「んじゃっ!美優っあと、牧野!」
「うんっ」
「そういえばさぁ、新くんって、美優以外に名前で呼んでる女子いる?」
「え?」
そういえば、聞いたことないかも…
「彼女とか??」
「誰と付き合ってるの?新くん」
「え?分かんない…」
「分かんないって聞いてないの?」
「うん」
誰なんだろう?