とっさに隠れる。ストーカーみたいでイヤだっただろうか。襲われるだろうか。この間の恐怖が再びつのっていく。しかし心臓がバックバクしているのは、それだけじゃないだろう。
「おい」
低い声が耳元でささやく。
「あっあのっ今朝の者です!落とし物っ!届けにきました!」
ハンカチをわたす。手がビクビクしてしまう。
周りが自分を見てる。
叶多は愛実の感情を察したのかその場から離れようと愛実の手をつかむ。
(っ!手っ!)

追ってきて、離れて見ていたユウはその光景に驚き、立ち尽くしていた。
(愛実がつれていかれる、、、殴られるのかな?先生に言ったほうが、、、でも余計なことしたら自分が危ないし)
こんな時でも自分優先にする自分が嫌いだ、とユウは思う。

愛実を連れて屋上へ来た叶多は辺りを確認する。
「あのっ、、、」
「ああ、、、あっちにいると誤解されちまうから、、、」
愛実はもうドキドキしすぎて完熟したトマトみたいに真っ赤だった。
ヤバイ
なんでこんなになるのが分からなかった。なんでこんなドキドキするのか、なんでこんな恥ずかしいのか、
わからない
わからなかった