それから月日は過ち、卒業間近になっていた。
2人は正真正銘のカップルになっていた。
愛は超真面目で、いつも叶多に何かと言うが、とにかく笑顔だった。裏表がない、まっすぐな人であった。いつもは長くて1ヶ月、短くて3日だった彼女というものが、一変するくらいだった。
「ねえ」
「あ?」
「叶多の将来の夢って何?」
ふとそんなことを聞かれた。
「夢蘭だっけ?受かったよね?」
愛は言った。
「ああ、でもめっちゃ進学率低いけど」
「で、何目指してんの?」
「何って、、、そんなん、、、」
「世界一のヤンキーになるとか?笑」
「はぁぁ?笑そんなんなんねーし。」
「いや、バカ叶多ならありえるな」
「そんなん、、、愛はどーなんだよ」
「私はねえ、、、」
ひと呼吸おいて愛は言った。
「世界中を旅しながら、貧困の人達を助けたいわ。」
そう言った愛の瞳は、まっすぐだった。
美しかった
その姿が今でも鮮明に覚えている。
ある時は、放課後の教室でこっそりキスをし、ある時は、熱い夜をかわし、ある時は、将来を誓いあった。
ある記念日のことであった。
ネックレスをプレゼントした。
それは珍しく叶多が一生懸命バイトしてこの日のためにためた、愛にへの初めてのプレゼントだった。
「こんなもの、、、」
ほろっと愛の涙がこぼれる。
「、、、ありがとう、、叶多。」
目を潤ませ、最高の笑顔だった。
このまま幸せな日々が続くと思っていた。それが、あの思い出したくもない事が起きるなんて。
知るよしもなかった。