だから恋なんて
走って逃げてきた愛実が、気づいたらいたのは知らない公園だった。
見知らぬ
愛実が思いふけっていると
「あーみ?」
振り向くと、部活帰りの妃咲がいた。
「あんれえ?愛実ってこっち方面だっけ?ん?しかも今日って叶多先輩と、、、?」
妃咲は首を傾げたが、すぐにまあいーや、と開き直ったので、愛実はほっとした。
「何か元気ないなっーて?」
「妃咲ってさ、恋したことあんの?」
急などストレート質問に少しびっくりした妃咲。
「んー、ま、あるでしょ。誰だって。」
妃咲はひゅんっとブランコを揺らす。
「後悔したことは?」
「えぇっ、、、んー、あるね」
ブランコが揺れると同時に妃咲のポニーテールが揺れる。
「、、、愛実、何か変。どうりでユウが心配してた訳だ。金沢先輩と何かあったの?」
「ま、まあね」
じばらく沈黙が続いた。
「この間はごめん、私、何かカッとなっちゃって」 
「ううん、私も何であんなことしたのか分かんなくて」
愛実は今更ながらに何故あんな人を好きになったのか疑問に思う。しかもよく思えばヤンキーと普通素人が付き合って長く続くのだろうか。でもあの時は叶多先輩一筋だった。止めようがなかった。確かにユウ達の言うとおりだった。  
「あげる」
いちごキャンディだった。
「ありがと」
ボリボリと噛み砕く。
この思いも全部、粉々にしたい。
「なんでだろ」
もう分からない。恋とか、恋愛とか、
分からない。