プルルルル、、、
出ない。
多分昨日は愛実にとっての初体験だったのだろう。上田がわざわざ電話してきたのだ。
"これでよかったの?"
「今さらおせーよ」
これからどうしろと言うんだ。もうあの純粋な愛実ではない。愛実にとって大切な人ができたのだから。
それでもその本人に電話をかけているのだから自分はどうかしてる。
そんなことを考えていながら、はぁーっと光希はため息をつく。
愛実とは10年以上の仲である。地元の公園で愛実、光希、あとユウとよく遊んでいたものだ。
そして光希の初恋の相手であった。
しかし幼なじみというのは一度恋愛に発展すれば、もうもとの関係には戻れない。だからこそ、告白をためらううちに高校生になった。今までやはり恋人というのはいて、それなりのことはしてきたが、やはり光希は何かがひっかかっていた。
そういえば、この間も告白された。
返事はまだしていない。
連絡先は交換したものの、連絡する気が全くない。
♪チャランチャララララン♪
着信音が鳴り響く。
まさか、、、
「何だよ上田かよ」
ちょっと期待した自分が馬鹿だと思いスマホを開く。
「何だよ」
「おはよう、なんだ、元気じゃん」
相変わらずの馴れ馴れしさで
「用件は?」
「愛実から全く連絡来ない」
「は?」
「昨日の夜、私が楽しんでーってL○NEして既読してから全然来ない」
「はああ?そんなん当たり前だろ。まだ寝てる可能性高いし」
「でもさ、もう11時過ぎたよ?感想くらい普通来るでしょ?!」
「知るか」
「何?今日は機嫌悪いね。あ、そうか、そりゃ初体験奪われて悔しいもんねー」
「るさい!関係ねーだろ。てかそんなん気にしてないし。そもそも愛実のことなんか、、、」
「またそーやって逃げて!何されるか分かんないんだよ!あの金沢叶多なら分かんな、、、」
「金沢先輩を悪く言うな!」
ブチッと切る。
あいつの大切な人だからこそ相手だって大切にしてほしい、そう信じたかった。
時計は11時半を指している
「部活行かなきゃ」
光希は立ち上がった。